2007年
《アベティはそれを見たことがない》(部分)2007年
《アベティはそれを見たことがない》
2007年
はなくそ(2年間溜めた作者の)、日本銀行本店金庫に置かれた展示台の複製物、ビデオ(01分25秒|ループ)
個人蔵
日本銀行地下金庫での展覧会です。「100円ショップダイソー」のロゴマークを金塊に刻印して展示するというプランだったのですが…。すぐに日銀職員に断られました。で、実際に展示したのがこの作品です。地下金庫見学者向けの「金塊山積みディスプレイ」の置かれた部屋に作品を展示しました。置かれていた展示台を複製し、その中に“ある素材”で出来た金塊型の立体物を置いたのです。実はこれ、僕の“はなくそ”で出来ています。2年分の。
金(GOLD)は、実際は貧しい国(例えばエチオピア)の人達が人力で、ようやく人ひとり入れる穴を地中深くまで掘り、命がけで採掘していたりもします。採掘といっても微量の砂金であり、それすら一穴に一粒も出てこない事もあるそうです。それに対し、経済大国の中央銀行で見た山積みの金塊のディスプレイは、僕には滑稽で馬鹿馬鹿しく映りました。日本人(僕)が、「現実味の無いエチオピアの深刻な事実」を、呑気に自宅の大型テレビを通じドキュメンタリー番組(*)で観ていた姿や、保守的な日本銀行に対して、そして、世界の強烈な経済格差に対して何らかの批評的アプローチが出来ないかと思いこの作品は生まれました。自らも長期間毎日「穴」を掘り続け、微量に採れる“それ”を集め続けたのです。展覧会初日に観に来て下さった福井総裁(当時)の苦笑いが忘れられません。
(*)制作のきっかけになったドキュメンタリーの一部がYouTubeで観られるようです。
『エチオピア・アベティ(3/3)』(リンク不明)
【展示歴】