2013ー2014年
《落描き禁止―けいかんびかすいしん―》2013ー2014年 インスタレーション モルタル壁、ビデオ 個人蔵
《落描き禁止―けいかんびかすいしん―》2013ー2014年 ビデオ 個人蔵
《落描き禁止―けいかんびかすいしん―》
2013ー2014年
インスタレーション (作者のアトリエの外壁を切り取りギャラリーで販売、ビデオ)
モルタル壁、スプレー、ペンキ、監視カメラ型モニター
・モルタル壁サイズ : 130×195(cm)
・ビデオ : 撮影 : 渡辺 篤、音楽 : DJ異物、編集協力 : 鎌田 昇(05分32秒|ループ)
個人蔵
既に国際的に有名になった覆面ストリートアーティスト、「バンクシー」。彼のグラフィティは、当初世間に「落書き」として扱われ、行政や清掃局によって上塗りされて消されていた。しかし、ある時期から社会批評性高きバンクシー作品はメディアやアート界で評価を得るように。価値を知った者は壁を切り取ってまでして、彼のグラフィティをアートオークションに出すようになった。今では彼のグラフィティと知らずに消してしまった清掃業者の方が、市民から非難を浴びるまでに(一説には、今や欧州の清掃業者には、消してはいけないグラフィティ作品リストが存在するとのこと)。
「落書き」か「アート」かは美的価値の対局に置かれてしまう事が多いように思う。現場では個々の本質的な美の価値よりも、社会の制度によってそれを判断され、ときにそれは矛盾を持つ。
この作品は都内のアートフェアに出展した。会場の裏通りは、日本で最もグラフィティの多い街のひとつだ。行政がそれを排除する時のセリフは、「落書きは汚い」である。しかし、「落書きを排除せよ。景観美化を推進せよ。」という論理を書いた大量の看板が街の景観を壊す矛盾も。
渋谷の国道246号高架下では、行政がグラフィティやホームレスを排除するために、専門学校生に ”健全で正しい” 壁画を上描きさせた(2007年「渋谷アートギャラリー246」)。しかしながら、ストリートに愛着のない彼らの絵は、徐々に管理や補修もされなくなり、やがてペンキは剥がれ、荒れ果てた。そしてそんなプロジェクトがあったことを皆が忘れた頃に、鮮やかな色のグラフィティが上書きされていった。壁には塗料が積層され続けていく。ときに対立さえする、様々な美の奪い合いによって。
この作品では美醜にまつわる混沌や社会制度をテーマとした。「落描き禁止」という文字をグラフィティのテイストで渡辺自身の家屋外壁に描き、電動ノコギリで切り取ってギャラリーに展示した。2度目の展示の際、アートコレクターにより購入された。
【展示歴】
【制作・運搬協力】
鎌田 昇、渡邊 悠太、一宮 千夏、中山 由都、牧田 恵実、三浦 あゆみ、前田 久瑠美、池田 拓馬、
小田 将大、サトウ タカナリ、桜井 貴、當間 健一郎、中川 竹弘、渡辺 政子、吉野 さくら (順不同)